スコットランドには、Home Energy Scotlandというサービスがあります。運営資金はスコットランド政府から出ているのですが、サービスを運営している主体はEnergy Saving Trustというprofit-for-purpose organisation(日本語では「社会目的営利組織」等と呼ぶようです)で、こちらは英国全体を対象に活動しています。Energy Saving Trustは、その名の通り省エネ奨励を目的として設立された組織で、省エネ、光熱費節約、カーボンフットプリント削減に役立つ情報を集めたサイトを運営しています。
Home Energy Scotlandは、Energy Saving Trustの情報にアクセスするポータルの役目の他に、電話・メール相談を受け付けていて、それぞれのニーズに合わせたアドバイスを受けることができるのが特徴です。
また、英国政府・スコットランド政府による炭素削減支援策へのアクセスの窓口という機能があって、これも電話相談ラインを通して利用します。
公的支援策の中でもスコットランド独特の制度が、Home Energy Scotland Loanです。これはスコットランドに持ち家のある世帯向けの無利子貸与制度で、断熱材や複層ガラス窓など断熱性向上策の施工、ヒートポンプなど暖房の電化策、そしてソーラーパネルやバッテリーなど再エネ導入策といった大がかりなリフォーム工事から、電動アシスト自転車の購入まで、さまざまな炭素削減策に利用することができます。ローン限度額は工事の種類により異なりますが、工事のほぼ全額をローンでカバーすることができる場合もあります。ここ1年ほどは特にインフレのため銀行ローンやクレジットカードは利率がどんどん上がっているので、無利子ローンの安心感は大きな利点。また、返済期間を自主設定することができるのも大きな特徴で、無理ない返済が可能です。
ヒートポンプ設置や断熱材施工などについては英国政府が別に補助金制度を設けていますが、これもHome Energy Scotland経由で申し込むことができます。以前はローンを申し込むとキャッシュバックという形で補助金の額が借入額から控除される仕組みになっていたのですが、最近ルールが変更され、補助金だけ申請するか補助金プラス無利子ローンの組み合わせにするかを選べるようになりました。
我が家ではソーラーパネルとバッテリーの設置にこのローンを利用しましたが、将来はヒートポンプの導入と電動アシスト自転車にも利用しようかと考えています。